光のもとでⅠ
「あっ!」
 拓斗くんが何かを見つけ席を立つ。
「秋斗お兄ちゃんっ!」
 心臓がぴょんと跳ねた。「秋斗お兄ちゃん」という言葉に反応したのか、拓斗くんの瞬発力旺盛な声に脊髄反射したのかは不明。とにかく、心臓が跳ねた。
「ねぇ、ママっ。秋斗お兄ちゃんもランチに誘っていい?」
「いいわよ?」
「お姉ちゃんも行こうっ!」
 またしても手を引かれ、今度は引き摺られるようにエントランスへ向う。
「秋斗お兄ちゃんっ!」
 コンシェルジュから郵便物を受け取っていた秋斗さんがこちらを向く。
 スーツ姿ということは本社へ行っていたのかもしれない。
「秋斗お兄ちゃん、お昼ご飯食べた?」
「いや、まだだけど……」
 秋斗さんは私を見て、さらにカフェの方へと視線を向けた。
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