光のもとでⅠ

「琴実ちゃん、おばさんはちょっとひどいんじゃない？　翠葉ちゃんは高校生だよ？」
　オラウータンのようにぶらさがる拓斗くんの頭をくしゃくしゃと撫でながら言う。
「そうよ？　空太のクラスメイトよ？」
　里実さんが引き合いに出したのは空太くんだった。
「だからおばちゃんなのよっ。空太は琴のおじさんだものっ」
　思わず納得してしまう。
　里実さんは空太くんと葵さんのお姉さんなのだ。そして、その娘さんがコトミちゃん……ということは、コトミちゃんの言い分はとても正しい。
　空太くんが叔父さんなら、叔父さんの同級生はおじさんおばさんになるのだろう。実際には空太くんよりもひとつ年上なわけだけど……。
「琴、最悪。翠葉お姉ちゃんに向っておばさんとか……そういうの、言葉の暴力って学校で習ったじゃんっ」
　秋斗さんにぶら下がったままの拓斗くんの目が据わっていた。