光のもとでⅠ
 少し前にも見たことのある夢。懐かしい、昔の記憶。
 でも、このまま懐かしいで終わらせてはいけない気がした。
 一生懸命お姉さんの顔を思い出そうとしていたら目が覚めた。
 お姉さんの顔……。
 全体的にとても線の細い人で、色も白くて髪の毛は少し茶色っぽくて、肩よりも少し長くて――。
 なんで……どうして唯兄の顔なの?
 脳裏にはっきりと浮かび上がったその顔は、唯兄の顔がそのまま当てはまってしまった。
 私の勘違い?
 ……ずっと思い出せないでいたけれど、お姉さんの顔は唯兄とそっくりだ。
 間違いではないと思う。
 お姉さんが胸もとで握りしめていたものが何かは知らない。でも、あのチェーンは……。
 ――鍵?
 ふとオルゴールの中に入っていたものを思い出す。
 あの箱に入っていたのはトルコ石がはめこまれた鍵だった。
 さっきまでポケットに入っていた鍵を思い出す。
< 881 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop