光のもとでⅠ
 中に入ってびっくりした。
 部屋の形が丸い。床も壁も天井も……。
「半球体?」
 蒼兄が口にする。
「そう。なんたって惑星ですから。丸くないとね?」
 お父さんがウィンクして見せる。
「家具やファブリック、インテリアに使われているアイテムはすべて碧様が現地で買い付けしてこられた北欧のものです」
 総支配人さんが補足してくれた。
「近未来っぽいのにかわいい感じだね」
 唯兄の感想にお父さんとお母さんが満足そうに顔を見合わせた。
「遊び心満載でしょ?」
 お母さんの言葉で思い出す。

 ――「絶対通らないだろうなー?」
 ――「そうねー? ほかのパレスと比べたら『重厚感』なんて言葉は出てこない中身だし……」
 ――「でも、あれもこれもって詰め込むのは楽しかったな」
 ――「確かに……球体の家やオフィスを建てたいなんて人はそうそういないものね? でも、妄想して模型を作るくらいならいつでもできるわよ?」
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