光のもとでⅠ
 コンペに応募した直後、お父さんとお母さんがそんな会話をしていたのだ。
 なるほど、と頷いてしまう。
 家が球体では家具を選ぶのに苦労するだろう。オーダーメイドでは高くつくし、かといって建築時に備え付け家具を作るにしても手間も費用もかかる。
 どう考えても普段お父さんたちが請け負う一般の戸建てには向かないのだ。
 思わず笑いがこみ上げてきてクスクスと笑うと、お父さんに天井を見るように言われた。
「半円がガラス張りだから天気のいい夜は星が見えるぞー?」
「お天気が雨でもきっときれいね?」
「そうなんだっ! 夜にならないとわからないんだけど、外にライトアップやイルミネーションの設備もあるから夜は夜で幻想的だぞ!」
 嬉しそうにお父さんが話すから、私も幸せな気分になる。
「お父さん、このお仕事楽しかったんだね」
 お母さんとお父さんの説明を聞きながら、ゲストルームを心行くまで堪能したあと、ランチを食べるために場所を移動することになった。
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