光のもとでⅠ

37

 すてきなところへ来ると写真を撮りたくなる。
 しかも、今はまだ私たち家族以外にお客さんがいないとなると余計に……。
 テーブルセッティングひとつとっても美しい。パレス内をくまなく見て歩きたい。
 そう申し出たのは蒼兄のほうが早かった。
「あぁ、行っておいで。うちのゲストルームは――」
「木星? それとも土星?」
「……木星」
 きょとんとするお父さんに、
「なんでわかったのか? これ見てわからなかったらダメでしょ?」
 蒼兄が指したのはパンフレット。
「ゲストルームの数が九つ。で、ここが太陽ならこの惑星は太陽系。太陽系で大きな星は木星と土星。だとしたら、ファミリータイプの部屋に割り当てられるのは木星か土星、でしょ?」
 蒼兄はにこりと笑って足取り軽やかに出ていった。
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