光のもとでⅠ
 先導するウェイターについて歩く。
 長いテーブルの一番端に案内されるのだろう。そう思っていた。
 けれど、ウェイターが示した席は端ではなく中ほどにある。
 テーブルにはウェルカムカードが置かれており、それぞれ自分の名前が書かれていた。
 左に唯兄、右に蒼兄。お母さんが私の正面に座り、お父さんは唯兄の前に座った。
 唯兄とお父さんの隣には空席が二つずつの計四席。蒼兄の右側には三つ、お母さんの隣は四席空いている。
 テーブルセッティングがされているということは、誰かのために用意された席であるということ。
 その席に誰が座るのかは少し考えればわかることだった。
 このパレスは多くの人が泊まれるつくりではないし、明日の式に出席するのはごく身内と聞いている。
 だとしたら――。
< 8,849 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop