光のもとでⅠ
 ごまかしようもなく、音のする方を見てしまった。
 赤い絨毯を進んできたのは秋斗さんと海斗くん。ツカサと湊先生の後ろに真白さんと柊子先生、それから知らない女性がひとり、男性二人。
 スーツを着たツカサと目が合った次の瞬間、自分のすぐ側まできた秋斗さんに声をかけられた。
 これだけでパニックを起こせそう。
 席がすべて埋まり、総勢十八人の晩餐会が始る。
 どうして「御園生」であるうちがテーブルの中に位置しているのかがわからない。
 通常、末席なるものが存在するはずだけれども、両端を藤宮に挟まれては末席などありようがない。
 次に考えたのは結婚する「ご両家」だけれど、現時点では結婚式自体が伏せられているだから、そこに重点が置かれるわけもない。
 でも、だからといってなんで――と思う。いっそのこと、一番端の人と席を交換したくなるくらい。
< 8,851 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop