光のもとでⅠ
 私の左側では唯兄が秋斗さんや海斗くんたちと言葉を交わし、秋斗さんがお父さんと斎さんの間に入って挨拶をしていた。
 逆に、右側では蒼兄とお母さんが栞さんや昇さん、湊先生や真白さんと挨拶を交え談笑している。
 聴覚で得た情報を視覚情報と一致させるためにゆっくりと顔を上げた。
 そのタイミングでテーブルに置かれたものがある。
 華奢なミニワイングラスに、淡いピンクの液体が注がれていた。
 ウェイターに、
「こちらはノンアルコールの食前酒となっております」
 私は耳を疑った。
 今、食前酒って言った?
 このホテルにおいて、スタッフがお客様を待たせるような接客をするはずがない。
 ということは――みんなが席についてからまださほど時間は経ってないということ……?
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