光のもとでⅠ
「ごめん。自分でもよくわかっていないの。ただ、時間がおかしかったから」
 きっと受け答えもおかしい。何よりおかしいのは時間ではなくて私の感覚だとも思う。
「リィ」
 背後から声をかけられた。
 私が完全に蒼兄の方を向いてしまっているから背後に聞こえただけで、本当は左側に座っている唯兄にかけられた声。
 蒼兄の手を掴んだままそちらを向くと、
「リラックス」
 ポン、と背中を軽く叩かれた。
 けれども、唯兄の顔は私以上に引きつっていた。
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