光のもとでⅠ
 なんだか、私だけが圏外な感じ。
 圏外というか、取り残されちゃったような……そんな気分。
 テーブルに戻ってカップに口をつけると、ぬるくなったお茶が優しく口の中に広がった。
 よく知った香り、カモミールに癒されていると、お母さんが部屋のライトを一段階暗くした。
 すぐそこで寝ているお父さんを気遣ってのことだと思うけど、そうすることで外のイルミネーションがよりきれいに見える環境になった。
「で? 三人ともこのあとはどうするの?」
 お母さんに訊かれ、
「はいっ!」
 元気よく唯兄が挙手した。
「リィを連れて中庭ーっ!」
 決まっていることのように言うとドアチャイムが鳴った。
 ルームサービスは頼んでない。……ということは、来客?
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