光のもとでⅠ
「えっ!? いえっ、あのっ……話題に乏しいなんてそんなことはないと思いますっ。すごく物知りだし私の話題の乏しさが際立つ感じで、あの――」
 涼先生はクスリと笑った。
「すみません、ちょっと意地悪が過ぎましたね。このこと、真白さんと司には内緒にしていただけますか?」
「え……?」
「御園生さんをいじめたと知れたら怒られてしまいますので。それに、司の口数の少なさ、その他もろもろのマイナス要因は私譲りと心得ています」
「涼先生……?」
 今度はにこりときれいに笑い、
「医務室に着くまで、私の話を聞いてくださいますか?」
 新た話題を提供され、心に引っかかった疑問を訊くタイミングを逃してしまった。
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