光のもとでⅠ
 話題に上がったのは湊先生のこと。
 正しくは、明日、ひとり娘をお嫁に出す父親の心境だったかもしれない。
 私は相槌を打ちながら話を聞いていた。
 回廊を半周ほど歩くと、涼先生が歩みを止める。
「息が上がってきましたね。つらくはないですか?」
 言われて、自分の呼吸が上がっていることに気づく。
 それほど速いペースで歩いていたわけでもなければ、私が話していたわけでもないのに。
「少し、息が切れる程度です」
 それでとくにどうということはなかったから、逆に足を止めた涼先生を不思議に思ったくらい。
「もう少し大丈夫かと思っていたのですが……」
「何が、ですか?」
「いえ、それでは地下へ下りましょう」
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