光のもとでⅠ
 言っている意味がわからなかった。
「あの、医務室に向かって歩いていたんじゃ……」
「えぇ、そうですよ。ですが、最短ルートを歩いていたわけではありません」
「え……?」
 涼先生はにこりと笑って回廊の内側にあるレストランへ向かって歩き始めた。
 少しずるい……。
 その笑顔を向けられたら、私は何も訊けなくなってしまう……。

 どうやら、地下フロアへはレストランから下りることができるらしい。
「涼先生……? レストランから下りられるなら、ゲストルームから少し歩いたところにもルートがありましたよね?」
「はい。それが最短ルートでしたね」
「どうして遠回りしたんですか?」
「その質問にはのちほどお答えいたします」
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