光のもとでⅠ
 今日も何度か立ちくらみはしたけれど、私が眩暈を起すのは起立性低血圧障害のせいで、それは血液に問題がある「貧血」ではなく、いわゆる「脳貧血」だったはずで――。
 パニックに陥っている私の肩を涼先生が優しくさする。
「落ち着きましょうか」
「――はい」
「医務室まで最短ルートで来なかったのは、症状がどれほど深刻なのかを見極めるためでした」
 先生は「鉄欠乏性貧血」という病気のことを詳しく教えてくれた。
 鉄分が不足したときに起こる症状の一つひとつ。そして、それらの最終形態が眩暈や貧血といった症状であること。
 通常は鉄剤を服用するか注射で補うそうだけれど、重篤な患者さんは輸血が必要になるということも。
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