光のもとでⅠ
「そこで、まずは鉄分が足りなくなった原因を見つけなくてはいけません」
「原、因……ですか?」
「はい。前回の血液検査はインフルエンザで入院したときのものです。そのときの数値からずいぶんと悪化しています。それには理由があるはずなのですが……御園生さん、もう一度訊きます。下血、吐血、もしくは血便はありませんか?」
 涼先生と会ってからまだ十分ちょっとしか経っていない。けれど、その間に何度言葉に詰まっただろう。
 でも、これは話さなくてはいけない――。
「……嘘はついていなかったんです」
 先生は頷き、続きを話すようにと視線で促した。
 ずっと便秘と下痢を繰り返していた。けれど、食べている分量が少ないこともあって、あまり気にしてはいなかったのだ。
 ここ四日ほど便通はなく、いつもの便秘だと思っていた。けれど、さっきトイレに行ったとき、間違いなく血便と思われるものを目にした。
< 8,880 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop