光のもとでⅠ
「今日が初めてですか?」
「はい」
 涼先生はここ最近の便の状態を事細かに尋ね、私はそれに覚えている限りの記憶を話す。と、
 診察のあと、胃か十二指腸に潰瘍ができており、そこから出血している可能性があると言われた。
 あぁ、そうか……この痛みは身に覚えがあった。
 中学生のときと去年入院していたときに胃潰瘍は経験している。すっかり忘れていたわけではない。
 ただ、胃の痛みは慢性化していたし、最近は内蔵が痛いのか筋肉が痛いのかわからなくなってきていただけ。
「検査は年明けの予定でしたが、藤倉へ帰ったらすぐにしましょう。異論はありませんね?」
「はい……」
 先生は新たなウィンドウを立ち上げ、そこから検査の予約を入れた。
< 8,881 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop