光のもとでⅠ
 蒼兄に視線を向けると、月明かりに照らされた苦笑が見えた。
「翠葉に電話してつながらなかったら、そのあとあのふたりが取る行動って結構安易に想像できない?」
 訊かれて首を捻る。
「まず、司は唯には電話しないだろ? だとしたら俺に連絡が来る。秋斗先輩は迷うことなく唯に電話する」
 私が呆気に取られ言葉を失っていると、代わりに唯兄が口を開いた。
「ま、そんなとこだよね? で、どんな用件で連絡したかのかがわかるようにメールを残す。本当、手抜かりない」
 蒼兄と唯兄に教えてもらい、メールが連名であった理由を知る。
 知ったことにより、やっぱり返事をしなくては、と思った。
 再度携帯をかまえ、メール画面を起動する。
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