光のもとでⅠ
 きっと、私が困ると言ったから……。だから振り向かないでくれたのだと思う。
 私が望んだことなのに。寂しいと思うなんて自分勝手にもほどがある。
 矛盾してるうえにわがままなんて救いようがない。
 私はいったいどうしたいのかな。
 顔を見たいの? 見たくないの?
 声を聞きたいの? 聞きたくないの?
 一緒にいたいの? いたくないの?
 秋斗さんもツカサも、どちらも失わないための選択をしたつもりだし、実際何も失ってないのにうまくいっている気もしない。
 どうしてこんなにも普通に振舞えないのか……。
 もっと普通に、そうは思うのに、どうしてできないのかな。
 ――好き、だから?
 この気持ちがなければ寂しいと思うことも、こんなふうにギクシャクすることもなくなるのだろうか。
< 8,925 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop