光のもとでⅠ
 もしそうなら、どうしたらこの想いを諦められるのだろう。
 どうしたらこの想いは跡形もなく消えてくれるのか……。
 急に目頭が熱くなり、鼻の奥がツンとした。
 どうしよう……胸が苦しくて涙が零れそう。
 咄嗟に目を瞑る。と、

 ――「わしは好きという感情が、意思でどうこうできるものとは思えんでのぉ」

 朗元さんの言葉を思い出して頭が真っ白になった。
 自分の意思ではどうすることもできないことがある。それはこの身体で嫌というほどに知っていた。
 でも、この気持ちがそれに属するものとは思いもしなかった――。
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