光のもとでⅠ
「さきほどすてきな髪飾りが届いたんですよ」
 美容師さんに声をかけられたときにはヘアメイクが粗方終わっていた。
 鏡には正面しか映らないけれど、どうやら全体的に編みこまれているみたい。最終段階なのか、美容師さんが編みこんだ髪を左サイドで器用にピンを使って留めていく。
「こちら、湊様からのプレゼントです」
「え……?」
 アシスタントさんが見せてくれたトレイにはブルースターが並んでいた。
「生花の髪飾りです。私どもはドレスに合わせてシルバーと淡い水色のリボンをご用意していたのですが、湊様がお嬢様のドレスをご覧になられて、こちらの生花をヘアアクセサリーにするようにと承りました」
「かわいい……」
「きっとお似合いになられますよ」
 小さな花をカットした先にワイヤーがつけられ、丁寧にフラワーテープが巻かれている。
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