光のもとでⅠ
 先に支度が終わったお母さんは、サロンの向かいにあるカフェラウンジで待っていた。
 細長いカフェラウンジの中ほどで、ひとりティーカップを傾けている。
 お母さんが着ていたのは胸元のドレープが美しい、光沢あるサーモンピンクの膝丈ドレス。
 昨日はシャンパンゴールドで今日はサーモンピンク。
 普段はモノトーンの洋服ばかりだから少し新鮮。
 私に気づくと、丁寧に巻かれた髪の毛が顎のあたりで軽やかに揺れた。
 近くまで行きブルースターの髪飾りを見せると、
「あら、かわいい。どうしたの?」
「湊先生からプレゼントなの。私はプレゼントのひとつも用意していないのに――」
 お母さんはクスリと笑う。
「幸せだとね、誰かに幸せを分けたくなるものなのよ。きっと、湊先生もそうだったんじゃないかしら? あとでお礼言いなさいね」
「はい」
「お茶、飲む?」
「ううん、少し休みたい」
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