光のもとでⅠ
 ほかの誰でもない湊先生に背中を押されてチャペルに足を踏み入れた。
 ドアの先に広がるのは石造りのドーム型チャペルだった。
 バージンロードの先に見えた水色は何かな……?
 気にしつつ、お父さんについて歩く。
 バッハのG線上のアリアが流れる中、参列者は両サイドの通路から入場し、中央寄りに詰めて列席する。
 新郎サイドは一列目に静さんのお父さんと柊子先生。二列目に栞さんと昇さん。三列目にお母さんとお父さん。四列目に私、唯兄、蒼兄が並んでいる。
 栞さんは周りをキョロキョロ見回しては昇さんを見上げ、「何が始まるの!?」と不安げに訊く。けれど、昇さんは「さぁ、なんだろうな?」と曖昧に笑うだけ。
 誰も教えないのなら私が行って教えてあげたい。そんな心境に駆られていると、急に屋内が明るくなった。
 光に誘われ天井を見上げる。と、壁面にはアイビーが垂れ下がり、天窓から差し込む光がバージンロードを照らしていた。
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