光のもとでⅠ
「オーナーの結婚式ともなれば手の空いてるスタッフは総出でしょうよ」
唯兄に言われて納得する。
スタッフに階段の両脇へ並ぶように誘導されたものの、階段を下りることに躊躇する。
平坦な場所は問題なく歩けるようになったけれど、さすがに階段ともなると話は別……。
「翠葉、手」
蒼兄の手をありがたく借りる。けれども――。
「唯兄……バッグ、持ってもらってもいい?」
蒼兄の手だけでは不安で手すりを掴みたかった。でも、バッグを持っていては無理な話だ。
「うん。じゃ、バッグとリィの右手は俺が引き受けましょう?」
「あ……ごめんなさい。右手は手すりを掴みたい、です……」
「ナンデスッテ? 俺じゃ頼りないってこと?」
「そうじゃなくて――動かないものに掴まりたいっていうか……」
「なるほど。ま、いいや。バッグは預かる。俺、リィの前歩くから転んだら俺の上に降ってきてね? できれば転ぶ前には前置きよろしく」
いつになく饒舌な唯兄は、笑いながら私の前を歩き始めた。
唯兄に言われて納得する。
スタッフに階段の両脇へ並ぶように誘導されたものの、階段を下りることに躊躇する。
平坦な場所は問題なく歩けるようになったけれど、さすがに階段ともなると話は別……。
「翠葉、手」
蒼兄の手をありがたく借りる。けれども――。
「唯兄……バッグ、持ってもらってもいい?」
蒼兄の手だけでは不安で手すりを掴みたかった。でも、バッグを持っていては無理な話だ。
「うん。じゃ、バッグとリィの右手は俺が引き受けましょう?」
「あ……ごめんなさい。右手は手すりを掴みたい、です……」
「ナンデスッテ? 俺じゃ頼りないってこと?」
「そうじゃなくて――動かないものに掴まりたいっていうか……」
「なるほど。ま、いいや。バッグは預かる。俺、リィの前歩くから転んだら俺の上に降ってきてね? できれば転ぶ前には前置きよろしく」
いつになく饒舌な唯兄は、笑いながら私の前を歩き始めた。