光のもとでⅠ
右手には手すり、左手には蒼兄の手。転倒防止対策万全で階段を下りる。と、後ろからすすり泣くような声がした。
きっと栞さん。でも、今の私に振り返る余裕はない。
目下、無事に階段を下りることが最大のミッション。それに、うっかり振り返ってツカサを見つけてしまおうものなら石化する自信がある。
階段の中ほどでスタッフに、「こちらまでで結構です」とにこやかに制止された。そこから下にはパレススタッフが連なる。
「新郎新婦が降りてこられましたらフラワーシャワーをお願いいたします」
差し出されたカゴの中には赤白黄色、オレンジ、ピンクと色とりどりのバラの花びらが入っている。しおれた花びらは一枚もない。
赤い花びらを一片つまむしっとりとした感触が指先に伝う。それは鮮度がいいことを証明していた。
きっと栞さん。でも、今の私に振り返る余裕はない。
目下、無事に階段を下りることが最大のミッション。それに、うっかり振り返ってツカサを見つけてしまおうものなら石化する自信がある。
階段の中ほどでスタッフに、「こちらまでで結構です」とにこやかに制止された。そこから下にはパレススタッフが連なる。
「新郎新婦が降りてこられましたらフラワーシャワーをお願いいたします」
差し出されたカゴの中には赤白黄色、オレンジ、ピンクと色とりどりのバラの花びらが入っている。しおれた花びらは一枚もない。
赤い花びらを一片つまむしっとりとした感触が指先に伝う。それは鮮度がいいことを証明していた。