光のもとでⅠ
 そう思った瞬間に腕を掴まれた。身体は前に傾き、私を受け止めてくれた人からはほんのりと白檀が香る。
「驚かせてしまってすまんの」
 朗元さんの声が耳元でした。
 顔を上げると、頭を優しく撫でられる。
「湊たちに祝福の花を降らせてやってくれるかの?」
 朗元さんはにこりと笑い、私から視線をずらす。と、御崎さんが花びらの入ったカゴを持ってやってきた。

 目の前に、色鮮やかな花びらが舞っているのに私の頭は真っ白だ。
 静さんと湊先生は私の前を通り過ぎたのだろうか。
 自分が上手に花びらを撒けたのかもほとほと怪しい。
 そのくらい、真実の衝撃は大きかった。
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