光のもとでⅠ
 唯兄とふたりで夕飯を食べる時間はゆったりと流れた。
 食べ物を口に運ぶ、咀嚼して飲み込む。食べ物の食感や温度、唯兄との会話。それ以外には力も神経も使わなかったと思う。
 御崎さんがずっとついていたけれど、レストランで食べたときのように必要以上に給仕を意識することはなかった。
 久しぶりに人の目や周りを気にせずにご飯を食べることができた気がする。
 実際は、パレスに来て二日目の夜なのだから、「久しぶりに」という表現は適切ではないかもしれない。
 でも、本当に、久しぶりに身体中の力を抜いてご飯を食べられた気がした。
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