光のもとでⅠ
 髪が乾くと、
「俺のことは待たずに寝ること。いいね?」
「はい。唯兄、ありがとう。おやすみなさい」
「おやすみ!」
 唯兄がバスルームに入ったのを確認してから薬を飲んでロフトに上がった。
 蒼兄もすぐ上がってきて、久しぶりにふたりきりになる。
 ふたりゴロンとベッドに横になると、ティータイムのことを訊かれた。
「久しぶりにみんな揃ったけど……どうだった?」
 どう――。
 これはイルミネーションの感想を求められているわけでも、カモミールミルクが美味しかったとかそういうことを訊かれているのではない。人が集まったこと、そのことに対して質問されている。
 感情を表す様々な言葉が頭をめぐり、その中のひとつを選んで口にした。
「緊張、した……」
「……それだけ?」
「……ううん。……みんな普通で、いつもと同じで……。安心、した」
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