光のもとでⅠ
「首周りのデザインを気にすることもございませんので、今日はアップスタイルに拘ることなくお選びいただけます。こちらのスタイルはいかがでしょう?」
 指先をきれいに揃えた手が示したのは、肩下から髪の毛がクルクルとしており、サイドの髪の毛のみを編みこんだものだった。
「はい。お願いします」
 まずはホットカーラーで髪の毛を巻く作業から。これは昨日と同じだった。ホットカーラーの熱が和らぐと、念入りにクールモードのドライヤーで髪を冷ます。
 ここでお母さんがブースに顔を出した。
「私と湊先生は支度が済んだからティーラウンジにいるわね?」
「はい」
 同様の会話が隣のブースからも聞こえてくる。湊先生が真白さんに声をかけていた。
 すっかりと熱の取れたカーラーを全部外し終わると、美容師さんは薬指で器用に髪の毛を掬って編でいく。最後にピンで一箇所留めたあと、髪全体にハードスプレーをかけられた。
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