光のもとでⅠ
唯兄が口にした「オンシ」は、たぶん「恩賜」という漢字で間違いないだろう。しかし、それを賜ることはそんなにも大変なことなのだろうか。
尋ねてみると、
「リィが持ってるホテルのフリーパスより上っ。これさえ所持してれば藤宮の系列ホテル、並びにデパートもどこもかしこも利用したい放題。これ以上ないビップ待遇を約束されますっ」
唯兄は理解しやすいように説明してくれたと思う。けれども、ピンとくるかこないか、と訊かれれば後者なわけで……。
「前に俺が話したこと覚えてる?」
違う声が割り込んだ。声の主は秋斗さん。
「フリーパスは一族の人間であってもそうそう手に入るものじゃない。これは、フリーパスを具現化したようなものなんだ」
秋斗さんの首にも藤色のアスコットタイがあり、藤の花びらを模したラペルピンが留まっていた。
尋ねてみると、
「リィが持ってるホテルのフリーパスより上っ。これさえ所持してれば藤宮の系列ホテル、並びにデパートもどこもかしこも利用したい放題。これ以上ないビップ待遇を約束されますっ」
唯兄は理解しやすいように説明してくれたと思う。けれども、ピンとくるかこないか、と訊かれれば後者なわけで……。
「前に俺が話したこと覚えてる?」
違う声が割り込んだ。声の主は秋斗さん。
「フリーパスは一族の人間であってもそうそう手に入るものじゃない。これは、フリーパスを具現化したようなものなんだ」
秋斗さんの首にも藤色のアスコットタイがあり、藤の花びらを模したラペルピンが留まっていた。