光のもとでⅠ
 唯兄には甘いカクテルとフルーティーな味わいの白ワインを、私には果実酢を豆乳で割ったものを用意してくれていた。
「なんで俺の嗜好まで知ってるのかなぁ……」
 唯兄はこめかみのあたりを押さえる。
 御崎さんはクスクスと笑い、
「それは唯芹様が唯芹様であられるからではないでしょうか」
 御崎さんの視線の先には藤色のアイテムがあった。
「ビップ待遇ってされたら気分いいものだと思ってたけど、意外と胸焼けするものだったんだ?」
 うんざりとした顔で同意を求められ、私は曖昧な笑顔を返した。
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