光のもとでⅠ
「間違いなく、ドレスの裏地にも同じプレートが縫い付けてあるはず。追加情報として――これは俺も認めたくないんだけど、通常、この手のものは一度にひとつ贈られるのが通例で、多くてもふたつ止まり。ネクタイピンにネクタイ、ポケットチーフと三点セットで贈られることはそうそうない。それから、三点以上身に着けている人もそうそういない」
 言われて少しの間、開いた口が塞がらなかった。
 三点以上というならお父さんとお母さんはどうなるのだろう。
 お父さんはベストにラペルピン、ポケットチーフ。お母さんはワンピースと毛皮のベストが淡い藤色だった。よくよく思い出してみると、エナメルのバッグとパンプスも藤色だったことに気づく。
「お父さんはともかく、お母さんは――」
 話の途中で唯兄に遮られた。
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