光のもとでⅠ
「リィ、零樹さんのアスコットタイは適用外だと思ってる?」
「え? 違うの? だって藤色よりは濃いし……」
「藤色を贈られるだけでも十分ビップ待遇なんだけど、紫紺は最上級の意味を持つ。藤色は次期会長にも贈れるものだけど、紫紺だけは現会長からしか贈られない」
 言われて思い出すのはお父さんのアスコットタイだけではない。お母さんの首に巻かれていたリボンも紫紺だった。
「ふたりが紫紺の恩賜を持ってるだけで眩暈起こしそうだったよ。しかも、あの口ぶりじゃ複数所持しててもおかしくない。もっとも、いくつ所持してるのかなんて知りたくもないけどさ」
 言うと、唯兄は持っていたグラスをぐいっとあおり、一気に飲み干した。
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