光のもとでⅠ
踏み出せない……。
一度止めてしまったら、次の一歩が踏み出せなくなった。
緊張からくるものなのか、なんとなく肌寒い気すらする。
緊張する必要はない。目の前にいるのは藤宮の会長である前に朗元さんなのだから。
目測、あと五メートル。あと、五メートル――。
ゴクリ、唾を飲み込むと、朗元さんがゆっくりとこちらを向いた。
「呼び出してすまんの」
「いえっ……」
弾かれたように答える。と、シワが深く刻まれた顔がくしゃりと崩れるようにして笑顔になった。
「わしが藤宮の会長じゃと緊張するものかの?」
少しおどけた調子で尋ねられる。
私は確かに緊張していた。けれど、その理由は何か……。
藤宮の会長だから緊張しているの? それとも、ツカサたちのおじいさんだから緊張しているの?
一度止めてしまったら、次の一歩が踏み出せなくなった。
緊張からくるものなのか、なんとなく肌寒い気すらする。
緊張する必要はない。目の前にいるのは藤宮の会長である前に朗元さんなのだから。
目測、あと五メートル。あと、五メートル――。
ゴクリ、唾を飲み込むと、朗元さんがゆっくりとこちらを向いた。
「呼び出してすまんの」
「いえっ……」
弾かれたように答える。と、シワが深く刻まれた顔がくしゃりと崩れるようにして笑顔になった。
「わしが藤宮の会長じゃと緊張するものかの?」
少しおどけた調子で尋ねられる。
私は確かに緊張していた。けれど、その理由は何か……。
藤宮の会長だから緊張しているの? それとも、ツカサたちのおじいさんだから緊張しているの?