光のもとでⅠ
 ……どちらかというなら後者のような気がする。でも、後者イコール藤宮の会長なわけで――。
 思考が延々ループに陥ると、新たに笑い声が聞こえてきた。
「お嬢さん、わしは朗元じゃ。藤宮の会長でもあるが、陶芸作家の朗元でもある。今までと変わらずに接してくれんかの?」
「……はい」
「こちらに」
 隣に並ぶように促され、五メートルの距離をゆっくりと歩いた。
 近くのテーブルには真っ白で飾り気のないコーヒーカップが置かれており、コーヒーのいい香りが漂っている。
 朗元さんと並んで写真の前に立つと、
「大きいのぉ……。真っ直ぐ空へ伸び、枝葉を豊かに茂らせておる」
「はい」
 私も改めて自分の撮った写真を眺めた。
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