光のもとでⅠ
「藤色は重いかの?」
「……藤色は好きです。でも、たくさんの人の視線には慣れそうにありません」
「それではこれも困るじゃろうのぉ……」
 朗元さんは懐から小さなジュエリーケースを取り出した。
「これはわしからじゃ」
 ケースはお母さんのリボンやお父さんのアスコットタイと同じ色をしている。つまりは紫紺――。
 朗元さんとケースの間を何度も視線を往復させる。と、五センチ四方のケースを朗元さんが開けた。
 中には薄い藤色のベルベッドが敷かれており、金色のチェーンには雫型を模る紫紺のトップが通してあった。
「ネックレスじゃ。トップは藤の花びらを模しておる。お嬢さんにはこれからも迷惑をかけることじゃろう――」
「朗元さんっ」
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