光のもとでⅠ
 無理やりに朗元さんの言葉を遮った。その先の言葉を聞きたくなくて。
 言われる前に言いたい。言わせてほしい。これだけは譲れない。
 相手が朗元さんでも、藤宮の会長でも――ツカサたちのおじいさんならなおのこと……。
「迷惑とか、言わないでくださいっ。それからっ、もう……もう二度と試すようなことはしないでください。お願いですから――」
 思い出すだけでも身体の芯から震えだす。ツカサや海斗くんたち、みんなとの関わりを絶たれるという現実がすぐそこにあったことが今も恐ろしくて。
「もう、しないでください。何度訊かれても出した答えを変えるつもりはありませんから。何度考えても私が出す答えは変わりませんから。だから――」
「……すまなかったのぉ」
 言いながら、紫紺の手ぬぐいで涙を拭われた。その手ぬぐいを左手に持たされ、開かれたままのジュエリーケースからネックレスを取り出すと、朗元さんの手が首の後ろに回された。
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