光のもとでⅠ
さっき、ネックレスをつけてくれたときも正面から同じ音が聞こえていた。けれども、返事をすることにいっぱいいっぱいで、なんの音かまで考える余裕はなかった。
「お嬢さん。人を、呼んで……もらえぬか?」
「……朗元、さん?」
不安から席を立つ。
顔を上げた朗元さんは真っ青だった。慌てて近寄ると苦しそうに激しく咳き込む。
すぐに「喘息」の二文字が浮かんだものの、対処方法を知らない。
どうしていいのかわからず背をさすった。何度も何度も。けれど咳が止む気配はない。それどころかどんどんひどくなっていく。
意味があるのかないのかもわからず自分が羽織っていたストールを朗元さんにかける。と、言葉は口にせず、懐から取り出したカードを押し付けられた。
そのカードには見覚えがある。唯兄が社員証として使っているカードと同じ……。そして、さっき御崎さんがエレベーターに乗る際に使ったカードと同じもの。
「お嬢さん。人を、呼んで……もらえぬか?」
「……朗元、さん?」
不安から席を立つ。
顔を上げた朗元さんは真っ青だった。慌てて近寄ると苦しそうに激しく咳き込む。
すぐに「喘息」の二文字が浮かんだものの、対処方法を知らない。
どうしていいのかわからず背をさすった。何度も何度も。けれど咳が止む気配はない。それどころかどんどんひどくなっていく。
意味があるのかないのかもわからず自分が羽織っていたストールを朗元さんにかける。と、言葉は口にせず、懐から取り出したカードを押し付けられた。
そのカードには見覚えがある。唯兄が社員証として使っているカードと同じ……。そして、さっき御崎さんがエレベーターに乗る際に使ったカードと同じもの。