光のもとでⅠ
「これ……これでエレベーターのロックを解除できるんですねっ?」
訊くと、力なくコクリとうなずく。
コトリ――。
朗元さんから転がり落ちたもの。それは手の平におさまるほどの筒状のプラスチックケースだった。
「これ……吸入器ですか?」
使い方は知らない。でも、知ってる人はいる。今、腕の中に。
キャップを外して渡すと、震える手でケースを掴んで容器を回す。カチっと音が鳴ったあと、朗元さんは容器を口に咥えたけれど、すぐに咳き込み容器は再度床に転がった。
吸えたのだろうか……。
吸い込む音なんて聞こえなかった。
私は吸入器を朗元さんの手に握らせ、
「すぐに、すぐに人を呼んでくるから待っていてくださいっ」
訊くと、力なくコクリとうなずく。
コトリ――。
朗元さんから転がり落ちたもの。それは手の平におさまるほどの筒状のプラスチックケースだった。
「これ……吸入器ですか?」
使い方は知らない。でも、知ってる人はいる。今、腕の中に。
キャップを外して渡すと、震える手でケースを掴んで容器を回す。カチっと音が鳴ったあと、朗元さんは容器を口に咥えたけれど、すぐに咳き込み容器は再度床に転がった。
吸えたのだろうか……。
吸い込む音なんて聞こえなかった。
私は吸入器を朗元さんの手に握らせ、
「すぐに、すぐに人を呼んでくるから待っていてくださいっ」