光のもとでⅠ
 一ヶ月……。長い、長すぎる。夏休みと変わらない。
 取り乱さないように、これ以上涙が零れないように目を閉じた。すると、
「あなた……諦めるの早すぎよ」
 絨毯を踏みしめる音が近づいてきた。目を開けると、すぐそこに藤原さんが立っていた。
「確かに術後一ヶ月は入院になるでしょう。でもね、うちは藤宮なの。良くも悪くも藤宮なのよ。御園生さんが望むなら、病院にいながらにして授業を受けることも、レポートを提出して留年を回避する方法もある。それを受け入れるも拒むも御園生さんの自由よ」
 衝撃的な言葉だった。
 ずっと、嫌だと思っていた。特別扱いだけはされたくないと思っていた。でも……特別扱いされることより何より、みんなに置いていかれるほうがもっと嫌。置いてきぼりになるのはもう嫌――。
 藤原さんを見ると、口角を上げられる。その表情がツカサや湊先生とかぶった。隣の紫先生は朗元さんと同じように髭をいじりながら話しだす。
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