光のもとでⅠ
 私は何を訊くこともせずに頷いた。
「怖いか?」
 お父さんに訊かれたけれど、このときはそんなに怖いとは思わなかった。
 ただ、こうやって安静にしていても胸が苦しいと思うし、動悸がひどくなる瞬間がある。
 そんなときには多少なりとも不安を覚えた。
 今まで、身体中の痛みに関しては死に直結するものではないと言われてきた。過呼吸だってそうだ。でも、今回のこれは違うのだ。
 手術を受けずに放置したら死ぬ可能性がある。そいう病状……。
 未だ自分の身に起こっていることとは思いがたい。けれど、これが事実、現実なのだ――。
「心配、かけて、ごめんなさ……」
「……なぁに、大丈夫さ。父さんの心臓はだいぶ静と碧に鍛えられてるからな」
 笑って言いながら、くしゃくしゃ、と頭を撫でられた。
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