光のもとでⅠ
「今頃清良さんの診察受けてるんじゃない? ついでにこってり絞られたらいいんだわ。……ったく、何、防犯カメラオフにしてんのよ。抜かりなく人払いまで徹底してっ。防犯カメラオフにするならちゃんと携帯持ち歩けって話よっ。翠葉もよっ!? 本っ当に人騒がせなんだからっ――」
 途絶えることなく悪口雑言が飛び出す。でもそれは愛情の裏返しで、きっとものすごく心配したのだろう。
 ごく近しい身内の治療をするのはどんな気持ちだろう……。
 医療の知識があればどんな状況なのかはわかるだろうし、治療方法を知っているのと同時に、どれだけ危険な状況なのかもわかってしまうのだ。
 それは、いったいどんな心境なのだろう……。
「翠葉ちゃん? 何を考えているのかな?」
 静さんに声をかけられたものの、思っていたことをそのまま尋ねるのは憚られて、少し違うことを口にする。
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