光のもとでⅠ
 静さんは慰めているつもりはないかもしれない。
 それでも、自分の不甲斐なさに涙が零れた。
「明日の手術は朝が早いと聞いたし、面会は十分以内にしてくれと言われている。だから、今日はこれで失礼するよ」
 静さんが席を立とうとしたとき、湊先生がすごい剣幕で静さんを引き止めた。
「静っ、あなた翠葉に何も言わないつもりっ!?」
 湊先生の取り乱しぶりにも驚いたけれど、それ以上に「何を?」という疑問に駆られる。
 静さんは気にせず立ち上がり、湊先生を見下ろした。
「言わなくても彼女はのちに理解するだろうし、それで何を言うこともないと思うがな」
 険悪なムードにおずおずと口を挟む。
「あの、何が……ですか?」
 湊先生は私に向き直ると、唇をきつく噛みしめた。そして、真面目な顔つきで謝られる。
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