光のもとでⅠ
 言われてすぐに電源を入れる。
 聞きたいものがあった。ツカサの声を聞きたかった。一から十までのカウントを聞きたかった。
 私の――大切な大切な精神安定剤。

 八時を回ると秋斗さんにツカサ、海斗くん、栞さん、湊先生、昇さん、相馬先生が来てくれた。
 相馬先生は何も言わずにただ頭をポンポンと叩いてくれる。
 昇さんは「うちの医師陣に任せれば大丈夫だ」と請け負ってくれた。
 海斗くんは「待ってるからな」と少し涙目。そんな海斗くんに同じく涙目の唯兄が絡む。ふたりは同級生ではないのに、どうしてか同級生とか仲間のように見えた。
 秋斗さんは「がんばってね」と一言。
 湊先生は「何も心配することないわ。大丈夫だから」と言ってくれる。
 ツカサは何も言わなかった。ただ、数秒間視線が交わっただけ。目が合った、というよりは睨まれた気がしてならない。
 理由はなんだろう……?
 疑問を抱いたまま病室を出た。
< 9,102 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop