光のもとでⅠ
 なんと返したらいいのかわからなくて黙っていると、バコッ――。
 湊先生がツカサの頭を豪快に叩いた。
「あんた、これから手術受ける人間に向かって何脅してんのよ」
 ツカサは動じない。
「誰も怒らないからだろ?」
 なんのことかようやくわかった。ツカサは走った私を怒っているのだ。そして、そのことを誰も怒らないから、だからそのことに対しても腹を立てているのだろう。
 前に言っていた。私が私の身体を大事にしないと腹が立つと……。
「……わかった。怒られるの、覚悟しておく」
「じゃぁ、行きましょうか」
 再度看護師さんに言われ、私はクリーンルームへと移動した。
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