光のもとでⅠ
 クリーンルーム内では今日担当してくれる看護師さんたちに出迎えられた。
 手術室に入る前に髪の毛を帽子に入れてかぶったり、最終的な準備をする。
 手術室には久住先生と楓先生がいて、ルートの確保や機材のセッティングはふたりがしてくれるという。
 心臓の手術前に涼先生執刀で胃潰瘍の手術も行われることになっていた。
 それらは全身麻酔をかけてからのことなので、今日は苦しい思いはしないで済みそう。
 そんなことを考えていると、楓先生が頭の脇に立っていた。
「さぁ、少し休もうか。点滴から麻酔薬を流すよ。そしたらすぐに意識はなくなる」
「……お願い、します」
「うん。翠葉ちゃんが目を覚ます頃には自分がついてるから」
「はい」
 酸素マスクをかぶせられ、私は心の中で数を数え始める。
 夏からずっと聞いてきた声が響く。ツカサの声が十を数えている途中で私の意識は消失した。
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