光のもとでⅠ
「荒川先輩……」
 というよりは、先ほど観覧席を一周したメンバーがみんなそこまで来ていた。
 桃華さんが側に来て、
「藤宮司、翠葉の状態は?」
「軽い貧血。翠、痛みは?」
「痛みはないです」
「休んでる?」
 加納先輩に声をかけられ、自分の携帯を取り出してバイタルを確認した。
 脈拍が百……。心臓さん、がんばって動いてくれてるんだ。
 身体に血を送るためにがんばって動いてくれてる。
 血圧は七十二の五十八――。
 脈圧ないなぁ……。それから過呼吸一歩手前。
 不整脈のような感じはしないから、きっとこのくらいなら大丈夫。
「いえ、一緒にステージへ戻ります」
「うん、みんなで可決させよう!」
 里見先輩の声に立ち上がろうとすると、司先輩と桃華さんが手を貸してくれた。
 少しふらつきながら歩みを進めようとすると、
「戻るなら文句は言うな」
 と、またしても司先輩に抱き上げられた。
「わっ、先輩っ――」
「「「「「「拒否権なしっ!」」」」」」
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