光のもとでⅠ
 朗元さんに見つめられ、私はその視線から逃れるように手元を見た。
 ツカサが怒っているのは私が走ったから。私が私を大切にしなかったからだと思う。もちろん、走ったことは反省しているけれど、同じような状況に陥れば、私は何度でも同じ行動を取るだろう。
 また、ツカサとケンカになるのかな……。
「ふむ。とりあえず、その説教とやらを聞かせてもらうとするかの?」
 えっ?
 朗元さんの言葉にびっくりして顔を上げると、
「じーさんには関係ない」
「関係なくとも興味がある」
「その無駄な好奇心、すごく迷惑なんだけど……」
 嫌そうな顔をするツカサの正面で、朗元さんはケロリとした顔をしていた。
 そんなふたりの間に秋斗さんが割って入り、「じーさん、帰ろう」と促す。
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