光のもとでⅠ
「……うん、怒られても仕方がない気がしてきた」
「……この色なら制服にも合うだろ。素材もナイロンだからすれて制服が毛羽立つこともない」
 ふたつとも、制服に使われているボルドーと同じ色の生地で作られており、どちらも重量を感じないほどに軽い。生地表面に指を滑らせるとサラっとしていた。
 それにしても、学生証と薬が入るポケットがついた携帯ホルダーなんてよく見つけ――。
「もしかして……オーダーメイド?」
 ツカサは包みを片付けていた手を止めた。
「既製品を探すよりも早い。それに、オーダーメイドのもののほうが使わなかった際の罪悪感が増すと思わないか?」
 唖然としてしまったけど、前者はとても藤宮らしい考え方だし、後者に関してはツカサらしさ全開だ。
 若干複雑な気持ちではあるものの、ツカサが私のために用意してくれたことに変わりはなく、胸のあたりがじんわりとあたたかくなるのを感じた。
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