光のもとでⅠ
 たぶん、嬉しいのだ。でも、嬉しいと感じることがとても悪いことのように思えて、髪の毛で顔を隠すように下を向いた。
「あり、がと。大切に使うね」
「……別に、どんな扱いをしてもかまわない。ただ、携帯だけは所持していてほしい」
「気をつける……」

 会話が一段落つくと、ツカサがお茶を淹れてくれた。
 カップに手を伸ばすと再度訊かれる。
「体調は?」
「さっきのじゃだめ?」
「……翠が及第点でいいならいいけど?」
「やり直してみるけど、あまり変わらないと思うよ?」
「……変わらないものをやり直したところで及第点を免れると思うのか?」
「思いません……」
「じゃぁ、その点善処して」
「はい……」
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